@article{oai:matsumoto-u.repo.nii.ac.jp:00000442, author = {船越, 克己}, journal = {松本大学研究紀要, The journal of Matsumoto University}, month = {Jan}, note = {application/pdf, 製造業(以下企業)が、「プロダクト・イノベーション」を重視した研究開発方針にシフトすることを求められて久しいが、未だに機能してきた様に窺えない。本論文では、この要因を職務発明の特許訴訟事案から探るとともに、推進する方策として「セレンディピティ」について研究した。研究開発力は、企業競争力を支える中核の「見えざる経営資源:Invisible Assets」であるが、最近それを揺るがす"技術者の反乱"と言える民事訴訟が多発している。技術者が、元の勤務先企業で出願した特許に対して、改めて「相当の対価」を請求した訴訟事件で、背後に組織に潜む不文律の影響が強く想定される。特に、昨年1月に東京地裁が被告企業に200億円の支払を命じた「青色LED(発光ダイオード)事件」が、今年9月に東京高裁の上告審で8.4億円の高額和解判決に終わったことに、多くの関係者から賛否両論の見解が交錯している。本報では、まず一連の訴訟事案が提訴された要因を探った。訴訟が提起された要因として、一般的には特許法第35条の影響が指摘されているが、筆者はプロダクト・イノベーションの研究における"セレンディピティ価値"を、経営者が理解し、個人の能力を真撃に尊重する意識が欠けているため、企業価値の向上に貢献した技術の本質を評価する文化が育たなかったことが根本的な問題と考えている。これは、経営者が述べた勝利宣言などからも窺えるが、原告の感情を逆撫でした発言により、他の研究者がモチベーションを無くしたことが懸念される。また、裁判の争点が、事業利益に対する原告と特許技術の貢献度について定量的評価の方法論に終始して、肝心の技術の本質や、企業価値へのシナジー効果は考慮されず、真因を言及できない民事裁判の限界を示したことは、当事者間の問題に止まらず他企業の研究開発力や競争力に致命的な影響を与えたと考えている。また、一連の訴訟事案も検討して、多くの企業も同様に建前の"技術立社"の戦略を掲げているに過ぎないように見える。したがって、これらの視点を踏まえて、本論文では研究における「セレンディピティ評価方法」の概念を考察し、提起した。これに関連して、昨年末アメリカ「競争力評議会」が発表した『21世紀の国家政策』を示唆していると言われる通称"パルミザーノ・レポート"は、イノベーションの必要性とともに先端研究分野で、日本等を仮装競争国とした行動も示しており、産業戦略の重要性が窺える。日本でも、経済産業省でカウンターポリシーが検討されているが、企業の競争力を推進するために、改めて研究開発における"セレンディピティ価値を評価し、個人の能力を尊重する企業文化を育成"することが、最重要な課題であると確信する。}, pages = {105--125}, title = {セレンディップ王子を見捨てたのか!(トータル・マネジメントシステムの活用による経営革新(3))}, volume = {4}, year = {2006} }